トランプ関税ですが、上乗せ分の効力が90日間停止されるということで、市場も大分落ち着きを取り戻したのかな?と思います。
少なくとも日経平均は爆戻ししていますし、ホント、手元に余裕があれば仕込みたかったです。。。
さて、なぜこのタイミングで90日間の効力停止に至ったのかな〜と考えていると、ある記事を見かけました。
内容は「米国債が売られて金利が上昇し、焦ったトランプ大統領か関税の上乗せ分について90日間の効力を停止した」というものでした。
なぜ米国債の金利が上昇すると困るのでしょうか?なぜ投資家は米国債を売るのでしょうか?
そんな国債と投資家心理について調べてみました。
そもそも国債って?
国が市場からお金を調達するために発行する証券で、満期(10年、20年など)になると額面の金額が返済されるほか、一定期間ごと(半年、1年)に利子が支払われます。
例えば、額面が100円、利子(クーポンとも)2%、残存年数3年の国債があったとすると、この3年間で貰えるお金は
1年目:2円
2年目:2円
3年目:2円+100円=102円
合計:106円
となります。
国債価格はどうやって決まる?
国債の価格は個人向け国債などで購入する場合は額面で購入できますが、市場(金融機関)で購入する場合は現物株と同様に需給のバランスで決まります。
市場で国債が買われると、その分供給量が減るため国債の価格は上昇します。逆に売られると供給量が多くなるため価格が下落します。
これが債券価格の動きです。
この他、市場金利の変化により国債価格が上下することもあります。
これは、市場金利が国債の利回りを上回ると国債の魅力が薄れる(銀行に預けておく方が得じゃん!的な考えになる)ため売られ、逆の場合には買われるということです。
また、インフレが進むと国債価格が下落します。
これは物価の上昇により、将来満期で受け取れる金額が目減りするからで、金利上昇の場合と同じく国債の魅力が低下するため国債価格の下落に繋がります。
これら以外に、為替の影響や国の信用が低下した場合などでも価格変化が生じます。
国債の金利上昇がもたらす結果
さて、国債の金利と言えば何を指すかというと、利回りのことを指します。利回りとは満期まで国債を保有した場合に受け取る利子の額面に対する割合です。
特に、新規に発行される10年物国債の利回りを長期金利と呼びます。
では、国債価格の下落と金利の関係について見てみます。
例えば、額面100円でクーポン(利子)が1%の10年物国債の場合は、毎年1円の利子が10年続き、満期で100円返ってくるので、最終は手元に110円戻ってくることになります。つまり利回りは10%です。
ここから国債が売られ、95円で取引されていたとすると、10年後には110円になるため、約15%の利回りになります。
さて、ここで国が新たに額面100円の国債を発行する場合、既存の国債と同じようにクーポン1%で発行して資金を調達できるでしょうか?
既に発行されている国債の利回りが約15%に達しているため、クーポン1%(=10年で利回り10%)では、投資家にとって旨みが無く相手にされないことになります。
すると、新たに発行する国債のクーポンを上げざるを得ない状況(=長期金利が上昇)になりますが、これは国の利子負担が増大することに繋がります。
国債価格の下落は長期金利の上昇、つまり国の資金調達コストの増大に繋がるのです。
国債を売る投資家の心理
では、国債を売る投資家の心理はどういったものでしょう。
まず、国債が売られている状況で国債を売却したいという心理が働きます。
国債が売られると発行済の国債の利回りが上がるため、新規に発行する国債は更に高いクーポンで発行される可能性があります。これを狙って現在の国債を売るという考え方です。
次に、インフレ(物価上昇)が進みそうな場合があります。
現在、1円でガムが1個買える環境だとしましょう。額面100円・クーポン1%の国債だと1年に1円利子収入があるため、ガムが1個買えます。
インフレが進み、ガムが1個2円になったとすると、1年分の利子収入ではガムが買えなくなり、実質国債の価値が下がっていることになります。
保有し続けても損になるので国債を売って、将来の物価上昇に対応出来る株式投資や不動産投資に回す、という考え方になります。
記事の内容と今回調べたことを踏まえて
関税の上乗せ分については4月9日から上乗せされることになっていましたが、その日中に90日間の効力停止になりました。
これはアメリカの10年物国債の金利(長期金利)が急激に上昇したためとの観測があります。
関税上昇に伴いアメリカ国内でのインフレが進むと見込まれ、国債が大量に売られたため金利が上昇した、というエピソードが凄くしっくりきます。
また記事では、関税上乗せ分の発表後、急激な株価下落で投資家たちに発生した損失を、国債を売却することによって穴埋めした、という内容でした。
この他、中国が国債を売却したのでは?という記事もありました。
米国債の保有国ランキングでいいますと、日本・中国・イギリスがトップ3のようです。日本政府も最終手段として国債を盾に交渉をしたりするかもしれません。
そうなれば関税交渉において譲歩を引き出せるかもしれませんね。
まとめ
- 国債は市場の需給バランスによって価格が変動
- 国債価格が下がると利回りが上昇し、新たに国債を発行する場合のクーポン上昇に繋がる
- 結果、国の資金調達コストが上昇する
- 関税上昇により米国内でインフレが進むと見込まれ、国債が売られた可能性がある
- 投資家が株式投資で生じた損失を国債売却によって穴埋めした可能性がある
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